スパークリングワインの選び方
スパークリングワインランキング
華やかな席での乾杯用として、ディナータイムの食前酒として、前菜からデザートまでコース料理の食中酒として、ランチタイムの気軽なドリンクとして、あるいはお寿司や鍋料理などの和食、そして中華料理やエスニック料理に合わせて、など様々なシチュエーションで世界各国の人々に愛飲されているのが「スパークリングワイン」です。
グラスの底から立ち上る綺麗な泡立ちに魅了され、豊潤な香りに感動し、泡の刺激は非常に心地よく、その果実の旨味と綺麗な酸のバランスは口の中で様々なドラマを生み出します。まさにアルコール飲料の中で最も魅惑的な飲み物が「スパークリングワイン」と言えるでしょう。
シャンパーニュを筆頭に世界各国には様々なスパークリングワインがあります。ブドウ品種、産地の違い、製法の違い、低価格帯から高額ワインまで、その選択肢は多岐に渡ります。
このページでは、ソムリエ歴25年シニアソムリエ麦ちゃんが厳選した約200アイテムのスパークリングワインを分かり易くご紹介します。スパークリングワイン選びの手助けとなれば光栄です。
南アフリカ・スパークリングワインランキング
カヴァ(カバ)ランキング(スペイン)
シャンパーニュ(シャンパン)ランキング
イタリア・スパークリングワインランキング
フランス・スパークリングワインランキング
ランブルスコ(赤弱発泡性)フリッツァンテランキング
甘口スパークリングワインランキング
■スパークリングワインとは?■
発泡性のあるワイン(炭酸が入ったワイン)をスパークリングワインと言います。
正確に言うと炭酸ガスが3気圧以上のものをスパークリングワイン、ガス気圧が1~2.5気圧のワインは弱発泡性ワイン、1気圧未満の場合は微発泡と言いますが、スパークリングワインとはみなされません。
■スパークリングワインの主な製法は2つ■
1.瓶内二次発酵(シャンパーニュ方式) 伝統的方式 (メトード・トラディショナル Méthode Traditionnelle) | |
瓶内二次発酵はシャンパーニュ方式とも言い、フランス シャンパーニュ地方で用いられているスパークリングワインの製法で、他にもフランスの『クレマン』スペインの『カヴァ』イタリアの『フランチャコルタ』など高品質なスパークリングワインは同様の製法で造られます。 瓶内二次発酵は一度発酵ににより造られたベースとなるスティルワインを瓶に詰め、糖分と酵母を加えて瓶の中で二次発酵を行い、それによって生まれた炭酸ガスを瓶内に閉じ込めて造られます。 数ヶ月掛けて瓶口に澱(おり)を集めるルミアージュという作業と、瓶の先端に澱を集めて、澱だけを取るデゴルジュマンという作業を行います。 | |
2.シャルマ方式(メトード・シャルマ Méthode Charmat) | |
一次発酵が終わったワインを加圧式の大型のタンクに移し、タンク内で二次発酵を行いそれを瓶詰する製法です。 伝統的方式に比べ、大量生産に向いています。 フレッシュさと果実味を前面に出した比較的安価なスパークリングワインにこの製法が使われます。 |
この2つがスパークリングワインの主な製法ですが、これ以外に
・トランスファー方式
瓶内二次発酵が終わったワインを加圧式タンクに入れて、ワインに残っている澱(おり)を取り除いたあとボトル詰めを行う製法。
・リュラル方式
一次発酵の際にワインの糖分を残した状態にしておき、発酵途中のワインを瓶に詰めて、発酵をの続きを行うことで発泡させる製法。
・炭酸ガス注入方式
スティル・ワインに炭酸ガスを注入して、人工的にスパークリングワインに仕立て上げる製法
■シャンパンとスパークリングワインの違い■
発泡性ワイン(スパークリングワイン)の事をシャンパンと呼ぶ方も多いのですが、これは正確な表現ではありません。
シャンパンというのはスパークリングワインの中でも、フランスのシャンパーニュ地方で造られ、
フランスのワイン法で認められたものだけを意味しています。正式には「シャンパーニュ」と言います。
瓶内二次発酵は必須条件で、瓶内熟成期間、ブドウ品種、アルコール度数など厳しく定められています。
「スパークリングワイン」=「シャンパーニュ」ではないという事を覚えておいて下さい。
■世界各国のスパークリングワイン■
南アフリカ、西ケープ州のケープタウン周辺はヨーロッパの気候に近くブドウの栽培に適した気候に恵まれ、それぞれのワイン産地が個性的なテロワールを備え、様々なタイプの素晴らしいワインが生産されています。特に1994年アパルトヘイトが終焉してから、南アフリカワインは目覚ましい発展を遂げています。
その中でも特に高い評価を得ているのがスパークリングワインです。シャンパーニュを意識したシャルドネやピノ・ノワールから生まれる瓶内二次発酵から生まれるワインは世界中から高い評価を得ています。南アフリカで最も栽培されているシュナンブラン種から生まれるスパークリングワイン、固有品種ピノタージュをブレンドした個性的な1本、ソーヴィニヨン・ブランを使った爽やかなタイプなど様々なスパークリングワインが生産されています。
南アフリカでは瓶内二次発酵で造られたスパークリングワインの事を『キャップクラッシック』と言います。
南アフリカでは1971年に最初の瓶内二次発酵のワインが造られ、1992年にキャップ・クラシック・プロデューサーズ協会が発足し、正式に『キャップ・クラシック』と呼ばれるようになりました。
アルファベット表記した「Method Cap Classique」の、頭文字をとってMCCと略称されることもあります。キャップクラシックを名乗るには最低瓶内熟成期間は9ヶ月以上(2021年ヴィンテージから12ヶ月に変更)とキャップ・クラシックの規定はシャンパーニュと同様に厳しい内容となっています。
西ケープ州の気候は良質なスパークリングワインに欠かせない、豊富で良質な酸をブドウに与えて、シャンパーニュに劣らない素晴らしいキャップクラシックが生まれるのです。
フランスではスパークリングワインの総称を「ヴァン・ムスー」と言います。
代表的なスパークリングワイン(ヴァン・ムスー)
シャンパーニュ
フランスで最もポピュラーなスパークリングワインがシャンパーニュです。
シャンパーニュの定義
- フランスのシャンパーニュ地方で造られていること
- 使用するブドウ品種はピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネの3種類か、いずれかを使っていること
(99%がこの3種ですが、アルバンヌ、プティ・メリエ、ピノ・ブラン、ピノ・グリも認められています) - 瓶内二次発酵で造られていること
この3つも条件の他、収穫量、醸造方法、熟成期間、アルコール度数など細かい規定を満たしたものだけがシャンパンと名乗れます。
シャンパーニュ地方はブドウ栽培の北限の地で冷涼な気候のため、非常に酸度の高いブドウが収穫され、通常のスティルワインですと、酸っぱすぎて飲めないことから炭酸入りのワインが造られるようになったと言われています。
冷涼な産地ならではの酸がシャンパーニュにとって最も重要なポイントなのです。
シャンパーニュ地方の土壌は主に白亜質のためそのミネラル感もまた重要な要素だと言われています。
収穫量は厳しく制限され、ブドウの収穫は手摘みとされています。
瓶内熟成期間は最低15ヶ月以上、ヴィンテージシャンパンで36ヶ月以上と長い熟成期間が必要です。
その他にも製造に関して細かな規定が定められており、非常に手間と時間を要します。
瓶内二次発酵と長期の瓶内熟成により、ゆっくりと炭酸ガスがワインに溶け込み、きめの細かいクリーミーな泡がグラスに注いだ後も長い間立ち上がり続けるのがシャンパーニュの大きな特徴です。
二次発酵で生じた澱(役目を終えた酵母)も瓶内熟成中にワインと長期接触することにより、味わいがまろやかになり、複雑な芳香が加わります。
このようにして収穫から醸造において多くの労力と時間を要するので、シャンパーニュは高品質であると共に必然的に高価な値段で取引されているのです。
クレマン
クレマンは、フランスのスパークリングワインの一つのカテゴリーです。 シャンパーニュ地方以外で造られる瓶内二次発酵によるスパークリングワインですが、地域が限定されています。
●クレマンを名乗れる産地(8つのAOCが認められています)
- クレマン・ダルザス(アルザス)
- クレマン・ド・ブルゴーニュ
- クレマン・デュ・ジュラ
- クレマン・ド・ボルドー
- クレマン・ド・ロワール
- クレマン・ド・リムー(ラングドック)
- クレマン・ド・ディー(ローヌ)
- クレマン・ド・サヴォワ
シャンパーニュと同じく瓶内二次発酵で造られますが、
シャンパーニュに比べ価格がリーズナブルなのも大きな特徴と言えます。
※クレマンに指定されていない地域で造られた瓶内二次発酵のワインは
ヴァン・ムスーの表示となります。
ヴァン・ムスー
スパークリングワインの総称でガス圧が3気圧以上
ペティヤン
弱発泡性ワイン(ガス圧が1~2.5気圧と定められています)
スペインでは、スパークリングワインの総称を「エスプモーソ」と言います。
最もポピュラーなのが「CAVA(カヴァ)」
(日本語表記で「カバ」と表記する事もあります)
カヴァ(Cava)は、カタルーニャ語で「セラー」を意味し、ワインを熟成させる洞窟(Cave)に由来しています。
カヴァの品種は白ブドウ5種(チャレッロ、マカベオ、パレリャーダ、シャルドネ、スビラ・パレン)、黒ブドウ4種(ガルナッチャ、モナストレル、トレパ、ピノ・ノワール)、全部で9つの品種が認められていますが、前述の土着3品種(マカベオ、パレリャーダ、チャレッロ)が主力となります。
カヴァはスパークリングワインの中でもプロセッコ、シャンパンに次ぎ、年間約2億4,000万本が販売されている世界3大スパークリングワインの1つです。
瓶内二次発酵が条件ですので、シャンパーニュ同様泡立ちはきめ細やかで、持続力があります。
シャンパーニュはブドウ栽培の北限にあり強い酸が特徴ですが、それに比べ主要産地のカタルーニャ州は気候が温暖ですのでブドウ品種の特徴も起因し、酸が比較的穏やかとなり、口当たり優しい味わいとなります。
シャンパーニュでは、仕上げにドサージュ(糖分添加)するのが通常ですが、(ドサージュしないものも稀にあります)カヴァではブリュット・ナチュレと表示されたドサージュしていないものは珍しくありません。
個人的にはブリュット・ナチュレと表示されたキリッとした辛口のカヴァをオススメしたいと思います。
いずれにせよ、瓶内二次発酵で造られる高級スパークリングワインの仲間ですが、価格的には非常にリーズナブルな嬉しいスパークリングワインと言えるでしょう。
イタリアではスパークリングワインの総称を「スプマンテ」と言います。
正確に言うとガス圧が3気圧以上のスパークリングワインは「スプマンテ」
ガス圧が1~2.5気圧の弱発泡ワインは、「フリッツァンテ」と呼びます。
瓶内二次発酵で造られたスプマンテは「メトード・クラシコ」「スプマンテ・クラシコ」と表記されます。
代表的なイタリアのスパークリングワイン(スプマンテ)
プロセッコ
生産量が多く、世界3大スパークリングワインの1つとして数えられます。
(プロセッコ、シャンパーニュ、カヴァ)
プロセッコとは、イタリアの中でもヴェネト州で造られているスパークリングワインのことを指します。
グレラ種が85%以上使用されることが条件で、グレラ・ルンガ、ヴェルディゾ、ペレラ、ビアンチェッタといった土着品種やシャルドネ、ピノ・ノワールなどのブレンドが認められています。
主要品種の「グレラ種」が「プロセッコ種」という名前で呼ばれていたことから、ワイン自体がプロセッコと呼ばれるようになりました。
プロセッコがワイン名でグレラがブドウ品種と区別されるようになったのは最近のことです。
フランチャコルタ
ロンバルディア州で造られる最高格付の高級スプマンテがフランチャコルタです。瓶内二次発酵で造られ18ヶ月以上という瓶内熟成期間が義務付けられています。(シャンパーニュの規定は15ヶ月以上)シャルドネ、ピノ・ネロ(ピノ・ノワール)、ピノ・ビアンコ(ピノ・ブラン)から白とロゼが造られています。
「サテン」と呼ばれるものは白ブドウのみで造られ、シャルドネとピノ・ビアンコが原料です。(フランスではブラン・ド・ブラン)
サテンとは直訳するとシルク(絹)を意味し、その滑らかさを表現した高級フランチャコルタとなります。
ランブルスコ
ランブルスコはエミリア・ロマーニャ州で生産される弱発泡性のスパークリングワイン(フリッツァンテ)です。(中にはフリッツァンテではなく、発泡性の強いスプマンテも存在します)
ランブルスコの主なブドウ品種 |
ドイツではスパークリングワインの総称は「シャウムヴァイン(Schaumwein)」と言い、弱発泡性ワインのことを「ペールヴァイン(Perlwein)」と言います。 |