シェリーとは?
白ワインに蒲萄から造られた蒸留酒を添加して造られる酒精強化ワインのことです。
その中でも、スペインの南、アンダルシア地方の南西に位置する「ヘレス」という町と、その周辺で造られるものを「シェリー」と言います。シェリーは白ワインのみで赤ワインはありません。
シェリーとは地域名から発生した名称で、「ヘレス」(Jeres)が、フランス語で「セレス」(Xerez)となり、これが英語読みでセーレスだったのが、後に訛って「シェリー」(Sherry)と呼ばれるようになったのです。
通常は辛口タイプですが、甘口タイプのシェリーもあり、タイプによっては、食前酒から食中酒、食後酒とフルコースを全てシェリーで合わせることも可能です。
日本では食前酒に一杯というイメージが強いシェリーですが、特に辛口シェリーは様々な食事にあわせて頂きたいワインです。
ワインの醸造過程で、アルコール度数が11~12%になった白ワインの表面にフロールと呼ばれるシェリー特有の酵母膜が現れます。この膜がワインの酸化を防ぐとともに、シェリー特有の風味を形成してゆくのです。
熟成方法によって「フィノ」と「オロロソ」に大別されますが、アルコールを添加する時に、フロール生育の限界を超えないように調整されたものが「フィノ」、限界を超えて添加してフロールを形成しないで熟成させたものが「オロロソ」です。フィノはフロールによって表面を覆われたまま熟成させるため酸化が防がれ、淡い色調で繊細な味わいになるのに対し、オロロソは、フロールが無くなることにより、熟成中空気に触れて色は琥珀色となり独特の風味を持つようになるのです。
樽に移されたシェリーは『ソレラ・システム』という特有な方法で熟成されます。段々に詰まれた樽は、上にいくほど新しく、下にいくほど古くなるように積み上げられています。出荷する時は、一番下の樽から取り出し、減った分は上から補充します。決して一度に大量に抜いたりせず、少しずつ取り出され、その分を補充するため、味わいは常に一定となるのです。一番下の最終出荷樽を『ソレラ樽』といい、その上の何層かの樽は『クリデアラ』樽と呼ばれます。
上の写真は実際のソレラシステムですが、近年では伝統的な方法の代わりに、タンク同士を管でつなぎ、ワインをポンプで移動することで、擬似的に「ソレラシステム」を実現している醸造所が多いということです。
主なシェリーのタイプ
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フィノ
フロールを付けたまま熟成させたもの。
淡い色調で、軽くすっきりしたシャープな味わいが特徴。
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マンサニーリャ
サンルカール・デ・パラメーダで造られるフィノのこと。
海に近いので口に含むとやや塩気を感じると言われます。
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オロロソ
フロールを消滅させ酸化熟成したタイプ。
琥珀色の強い色調で、 強烈な香りとコクのあるフルボディーなシェリー
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アモンティリャード
フィノが古くなってフロールが無くなり酸化熟成したタイプ。
琥珀色の色調でナッツのような風味が特徴。
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クリーム
オロロソから造られる甘口タイプ。
マホガニー色の濃い色調、コクも有り、 フルボディー、デザートワインとして最適。
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ペドロ・ヒメネス
ペドロ・ヒメネス種のぶどうを天日に干して
干しぶどう状にしたものから造られます。
マホガ二ー色で最高のデザートワイン。
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ボデガス・バロン BODEGAS BARON
古くは1631年に起源を持ち、10世代・300年以上の歴史を持つバロン社。
サンルーカル・デ・バラメダの地でその高い技術とワインの卓越した質の高さに比類ない評価を得てきました。現在においても家族経営で自分達の楽しめる、納得のいくシェリー造りに励み、その味わいとコストパフォーマンスは地元で多くの支持を受けています。
バロン社のこだわりは創立当時から受け継がれる伝統的シェリー樽熟成製法、ソレラシステムを忠実に遂行しており、最新技術をほとんど使用していません。
また、ブドウ栽培から瓶詰まで一貫した管理システムに基づいてワイン造りを行う同社では、ブドウ畑の土壌に養分を与え、農薬を使わずに害虫を駆除しながら、ブドウを大切に育て、環境にやさしいブドウ栽培とワイン造りに取り組み始めています。