2008年に若いドノヴァン・ラール氏が西ケープ州の中でも、カルトワインのメッカであるスワートランドに設立し運営しているワイナリーで、年産僅か6000本です。手造りの赤白ワイン 1種類ずつを地中海ブレンドで、極めてユニークで限りなく古い畑のブドウを使用し、極上のワインを少量造ることがモットーです。
ブドウは、スワートランドやステレンボッシュのブドウ生産者と密接に仕事をし、適切に熟しバランスがとれた果実を確保することを重要視しています。畑を選択するにあたって最も大 切な要素は、土壌の質とブドウの樹齢です。現在のところ、この2つのワインには主にスワートランドの10か所の畑のブドウを使用しています。白には花崗岩ベース、赤には片岩ベースの 畑です。彼のポリシーである不干渉主義でワインを造るに当たって最も大切なことは、収量が少なく成長のバランスがよいブドウを選ぶことです。こうしたブドウは、補酸もせず、天然 酵母のみ使用して造られます。
今最も注目を集める南アの醸造家ドノヴァン・ラール
2017年4月2日、ドノヴァン・ラール氏に、南アの食の都と言われるフランシュックにて逢うことが出来ました。フランシュックは南フランスで活躍するブティノが本格的に南アフリカ進 出のための拠点となる地です。ドノヴァンがワンダリング・ビースト(ブティノのプレミアムワイン)のワインメーカーも務める関係で、ブティノの担当者含めて同席することになったの です。2mは超えようとする身長、がっしりした体格は、プロレスラー並みの巨体と言えます。しかし、話をしてみると非常に温厚で、愛想のいい好青年であることが分ります。若い頃は ラグビーに打ち込んで選手として活躍していたと言うことですから納得の体格です。足の怪我のため、現役は退きましたが、2019年ラグビーワールドカップには必ず来日し観戦すると話 してくれました。
現在彼は、デキャンター誌より「南アで最もエキサイティングなヤング・タレント」と評され、自身の名を取った個人ブランド「ラール」は2015/2016年度ティム・アトキン氏による南ア ワインリポートで1級格付け評価を獲得し、銘醸ワイナリーの仲間入りを果たしたことでも話題となっています。
今や、南アを代表する若手醸造家と言えます。
ステレンボッシュ大学を2005年に卒業すると、その後数年をかけて世界中を旅し、各国でワイン造りに関わりました。2007年に南アに戻るとスワートランドで1シーズンを過ごし、この 時、南アに古くから持ち込まれた地中海系品種に興味を持ちます。彼はこうしたオールド・ヴァインを用いたナチュラルなスタイルのワインを自身の名で造りたいと思うようになり、翌 年2008年にはもうワイナリーを立ち上げ、10樽ほどのワインでデビューを果たしました。
今では、その「ラール」は前述した通り、1級格付け評価を獲得し、さらに数多くのクライアントが醸造家やコンサルとして彼を招聘しています。
まさに、南アで最もホットな醸造家と言って過言ないでしょう。