スターク・コンデのホセ・コンデ氏が惚れ込んだ歴史あるワイナリー
ステレンボッシュの北端、ワインの銘醸地のシモンズバーグのゴールデン・マイルと呼ばれる地域に位置するリーフランド・ヴィンヤーズ。リーフランドは「愛の土地」を意味し、その牧歌的な美しさに魅了されない人はいないでしょう。 1990年台後半、リーフランドは南アフリカのトップエステートの1つと見なされていましたが、その後所有者が変わっていった事でワイン造りは次第に途絶え、最後にはブドウ畑も放置されてしまいました。 この可能性を秘めたブドウ園に早くから強い興味を抱いていた、マン・ヴィントナーズの共同経営者であり、名門スターク・コンデのオーナー醸造家ホセ・コンデ氏とジューステンベルグのオーナー醸造家であるティレル&フィリップ・マイバーグ氏は2017年、満を持して行動に出ます。3人はブドウ園が持つ以前の栄光を取り戻すべく農場を購入し、敷地内に新しいセラーを建設させ大規模な畑の整備にも取り組む一大プロジェクトを始動させたのです。 そして、2018年には待望の「リーフランド」ブランドをリリース。 リーフランドのワインには、ステレンボッシュやパールの古木やブッシュバイン、優良畑のブドウが使用され、丁寧にテロワールが描き出されています。ティム・アトキンMWはこれらのワインに90点以上の高評価を付けるなど、早くも注目を集め始めています。
南アフリカ初の女性醸造家の存在
『最盛期のリーフランド』
リーフランドはもともと、1715年にオランダの東インド会社の木こりであるユルゲン・ハネコム氏に与えられたはるかに大きな地所、ナッテ・ヴァレーの一部でした。長年にわたって多くの所有者を経て、農場は現在の区画に分割されました。エステイトは1934年に入り祖国を包囲していた紛争から逃れるため移住地を探していた、ラトビア出身の男爵と男爵夫人のフォンスティレンヒェルム家に売却されます。しかし男爵がヨーロッパを去る前に亡なったことで、未亡人となった男爵夫人ヘンドリカは5人の子供と共に南アフリカへ移住し、農業を未経験のまま農場を引き継ぎます。農場は彼女の夫と子供たちの出生地にちなんで、『ファーム・リーフランド』と名付けました。ヘンドリカは当時、大規模なケープのワイン農場を経営している独身女性であったため、ユニークな存在となりました。貧しいだけでなく、農作業やワイン造りは全くの未経験でしたが、隣人のサポートと彼女の秀でた行動力によりブドウ畑を再建させ、ワインは高い評価を得るようになります。ワイン造りを始めた当初は一軒一軒、軒先を回りワインを訪問販売していましたが、最終的には70ヘクタール以上の畑を管理するまでに成長し、馬を使用し畑を耕作していました。その後長年にわたり、リーフランドはステレンボッシュを代表するシラーズの生産者として知られるようになりました。南アフリカ初の女性ワインメーカーとなったヘンドリカにとって、全てが初めての経験で苦悩と困難の連続でしたが、樽発酵技術を用いたシュナン・ブランを最初に生産したワインメーカーとしても知られています。
思いの詰まったチャーミングなラベルデザイン
初めて農場を訪れたとき、オーナーの一人であるホセ・コンデ氏は、赤ん坊のスプリングボックを子供のように育てる2頭の馬に衝撃を受けたと言います。この感動的なシーンから、南アフリカの国民的動物であるスプリングボックに愛の神であるキューピッドが乗っているという画が浮かび、リーフランドのモチーフとしてラベルに描かれる事になりました。