このDOCGで唯一の公式なクリュ「パッロコ」を所有するルケのパイオニア
1979年生まれのルカ・フェラリスは、フェラリス・アグリコーラの4代目当主として活躍する人物です。ワイナリーの歴史は、今からおよそ100年前の1921年にまでさかのぼります。1899年にアメリカへ移り住んだルカの曾祖父、ルイジが得た資金を元手に妻のテレーザ(曾祖母)と息子のマルティーノ(祖父)が畑と建物を購入しました。しかし、マルティーノの息子ルイジ(父)は、ワイナリーを継がず、トリノへ移り住み別の仕事についていました。ブドウの栽培は行なっていたものの、収穫したブドウは協同組合に販売していました。「父の世代の人々は、トリノに出稼ぎに行っていました。しかしここ10年ほどでルケが人気になったおかげで、人々が地元のワイナリーで働くようになってきています。それぞれが植樹を行いエリア全体が復活したのです。ルケが国際的に成功したことで簡易的な宿泊施設やレストランができ、観光地としても栄え、経済も活性化するようになったのです」
薔薇の香りを持つ特別なブドウ「ルケ」
ルケは、DOCGルケ・ディ・カスタニョーレ・モンフェッラートの主要品種です。このDOCGは、ルケを90%以上使用しなければならず、酸味を補うためにバルベーラを10%までブレンドすることが出来ます。ルケは、ピエモンテ州アスティ県の7つのコムーネ(カスタニョーレ・モンフェッラート、グラーナ、モンテマーニョ、ポルタコマーロ、レフランコーレ、スクルツォレンゴ、ヴィアリージ)でほとんどが栽培されています。ルケの特徴は、なんといってもその芳香で、薔薇の花を思わせる強い香りが感じられます。また、糖度が高いため、アルコール度数が高く、ボディがしっかりとしたワインが出来上がります。非常に個性的なブドウ品種でありながら、1960年代にはほとんど忘れ去られてしまっていました。その理由は、ルケが非常にデリケートなブドウであり、栽培することが非常に難しいためです。例えば、同じピエモンテ州の黒ブドウ、バルベーラと比較すると、ルケを育てる労力やコストは4倍かかると言われています。ルケは糖度が高いため、蜂が集まってきて、ブドウの実が傷つけられてしまい腐敗するリスクが高くなります。また、果皮が薄いため、収穫期を見過ごしてしまうと、ブドウが割れて腐敗してしまいます。そのため、収穫のタイミングが難しいという点も指摘できます。
「ルケはとてもユニークな品種で、世界中どこを探しても見つけることが出来ない品種です。アロマティックで強い香り、味わいも独特なのが特徴です。特に香りが特徴的で、白ワインのような香りが広がります。食事との相性もよく、熟成したチーズ、トリュフ、バーニャカウダ、様々なお肉、ビーフシチューとも良く合います。肉料理のソースなどにルケのワインを少し入れて、食べるとより一層旨みが引き出せます。また、特に相性が良いのは、ジビエで、スパイスとルケの香りとの相性が非常に良いです。最初から最後までこのワイン一本で楽しめるのがルケの魅力でもあります。また、ルケは繊細なワインですが、同時に複雑さを持ったワインです。ですから、スパイスやハーブを用いた複雑味のある料理とよく合います。日本に来て思いましたが、日本の料理は繊細で深みがありますから、ルケとよく合うと感じています」
ルカは、世界中の偉大なワインは長期熟成できるタイプが多いので、ルケでも偉大なワインが造れるだろうと考えました。なぜならルケはタンニンが豊富でアルコール度数も高いためです。そこで2007年に初めて造ったのが、トップ・キュヴェの「オペラ・プリマ(I-847)」でした。ルケの長期熟成の可能性を世界に示したルカ・フェラリスですが、地域を牽引するこれらの取り組みが知られるようになり、2016年、ルケ・ディ・カスタニョーレ・モンフェッラートの起源ともいえる畑を受け継ぐことになりました。この畑は、今からおよそ60年前に、忘れられたブドウ、ルケのポテンシャルを見抜いたひとりの人物、ジャコモ・カウダ司教が手掛けた歴史的な畑で、いわばルケにおけるグラン・クリュということが出来るものでした。