「ガンベロ・ロッソ」でトレビッキエーリを獲得する実力
フラスカーティのイメージを覆す、確かなクオリティ
カサーレ・マルケーゼはDOCGフラスカーティ・スペリオーレのエリアの中心に位置しています。ワイナリーは、古代ローマのラビカナ街道上にある、古代ローマ時代に造られた遺跡(地下貯水槽)の上に建てられています。その歴史は古く、中世の時代、1301年ボニファティウス8世の勅書にこの場所がアニバルディ家の領地の一部であるという記録が残されています。またルネサンス時代には、著名な音楽家であったエミリオ・デ・カヴァリエーリ侯爵(Marchese Emilio de’ Cavalieri:1550-1602)の邸宅でした。「カサーレ・マルケーゼ(侯爵の農園)」というワイナリー名はこの史実にちなんでいます。1800年代に現在のオーナーの一族であるカルレッティ家の所有となりました。現在は7代目に当たる兄のアレッサンドロ(左)と末の弟のフェルディナンド(右)がワイン造りを引き継いでいます。アレッサンドロは経営を、フェルディナンドは栽培を担当しています。
カルレッティ家が所有した後も様々な公的文書に記録が残されていますが、その中のひとつに1860年の教皇庁の文書も含まれています。またアメリカの作家、クララ・ウェルズの1978年の著作「The Alban Hills」の中で「緑に囲まれたマルケーゼと呼ばれる端正な農家」という記述があります。現在の建物は18世紀(1713年)に出来たもので、現在も一部はカルレッティ家の住居となっています。建物の一部を改築し、ワイン生産のために最新式のセラーを造りました。醸造、ボトリング、梱包まですべて自社のセラーで行っています。畑面積は50ha、葡萄畑が38ha、残りは樹齢の古いオリーブ畑となっており、ワイナリーは葡萄畑に囲まれています。この環境により、収穫したブドウをすぐにワイナリーに運び込むことができます。畑には除草剤、殺虫剤は使用していません。葡萄の仕立ては大部分がコルドンです。栽植密度は1ヘクタール当たり4,000~5,000本です。短梢剪定のコルドンでは、1本当たりの房の数は少なくなりますが、全体的により良い品質の葡萄が得られると考えています。収量は1本当たり1.5~2kgです。収穫は9月の第一週から10月中旬に行います。葡萄品種、熟度に合わせて最適なタイミングで収穫が出来るよう100%手摘みで行っています。
収穫した葡萄は空気圧プレスで優しく圧搾します。こうすることで葡萄のアロマを失わないようにしています。白ワインは酸とフレッシュさを保つためマロラクティック発酵は行わず、樽も使用しません。セラーはいくつかの階に分かれており、上階は赤ワインの醸造、1階は白ワインの醸造に使用しています。また、18世紀に造られた美しい樽セラーは、現在も赤ワインの樽熟成に使用しています。
「葡萄もそうですが、ワインは生き物なので日々変わっていきます。私たちが最も重要だと考えているのは、セラーでのコントロールです。醸造中や保管中、熟成中に毎日テイスティングしてワインの状態を確認しています。栽培は完全なオーガニックではありませんが、極力除草剤は使用しません。また、病気が発生したときにはもちろん対策はするものの、ケアをしすぎないようにしています。なぜならその影響で葡萄そのものが変わってしまうと考えているからです」と生産者は話します。