シチリア最南端の地で姉妹で手がけるやさしさ溢れるナチュラルワイン
シチリアの最南端、世界遺産としても有名な美しい町、ノートとシラクーサの間に位置するパチーノの町に程近い「ポッジョ・ディ・フォッシ」と呼ばれる丘にカンティーナ・マリリーナが設立されたのは2001年の事。カンティーネ・セッテソリやドゥカ・ディ・サルパルータなどシチリアのワイナリーで25年に亘り醸造家としてのキャリアを積んできたアンジェロ・パテルノがこの丘に60ha土地を購入した時に始まります。石灰質に富んだ土壌を持ち、夏の極端に乾燥した気候と強烈な陽射しを受けるこの土地は、長年ワイン造りに携わってきたアンジェロにとって極めて魅力的に映ったのです。アンジェロはこの丘の気候風土を生かして、当初より有機農法を取り入れました。現在地所の半分ではポリカルチャー(混作:複数の作物を同じ畑で同時に栽培する事)が行なわれ、残りの地所はぶどう園として様々な品種(ネロ・ダーヴォラ、グレカニコ、モスカート・ビアンコ、モスカート・ジャッロ、インツォリア、メルロー、タナ、ヴィオニエ、シャルドネ)などが植えられています。また発酵は全てコンクリートタンクで天然酵母を用いて行なうという、伝統的な醸造方法を取り入れました。現在アンジェロはワイナリーを2人の娘(ワイナリー名にもなったマリリーナとフェデリカ)に委ね、自らは醸造の段階で2人のサポートを行なっています。この地の気候風土を生かした、極力手を掛けない有機農法や、セメントタンクでのじっくり時間を掛けた自然に近い発酵などの手法は、南シチリアのナチュラルワインの巨匠フランク・コーネリッセンの影響も受けています。南シチリアの強烈な夏の陽射しはぶどうを早く完熟させ、糖度の高い果汁が得られます。特に定評のあるマリリーナの白ワインは、一晩のスキンコンタクトを経てコンクリートタンクでじっくりと時間をかけて発酵、熟成させる事でやや褐色がかった、果実の風味が凝縮した濃厚な味わいを持つのです。アンジェロからワイナリーを引き継いだマリリーナとフェデリカの姉妹は、ぶどう栽培から醸造、マーケティングなどすべてを2人で行なっています。そしてワインには随所に女性らしい感覚が取り入れられています。代表的なものが「ミニマム・インパクト」の考えを取り入れた、環境への影響を最小限にする取り組みで、再生紙を使ったラベルや軽量瓶の採用、キャップシールの廃止などです。恵まれた気候に育まれたぶどうのポテンシャルを伝統的な手法で最大限に引き出したマリリーナのワインは、じわじわとその人気を高めています。