モーゼルのプラッテン(ツェルティンゲンの近く)の家族経営の生産者で、父の代までは戦争の影響でワイングートは名乗っていませんでした。トーマス バルテンはベルンカステルなどの醸造学校で6年間ワイン造りを学びました。元はプラッテンとオーザンに2.5haのみ所有していましたが、トーマスの代になってツェルティンゲンやヴェレナーの畑を購入しました。
最高のワインはデボン紀のスレート岩の急斜面のリースリングから生まれると考え、リースリングは斜面の畑だけで栽培しています。ワイン造りのポリシーは“Less means more.”(「過ぎたるは及ばざるがごとし」と同様の意味)。畑仕事や醸造には、出来る限り自然な造りを心がけています。剪定は、特殊な機械を使用することによって、一人で作業が出来ます。これがバルテンのコストパフォーマンスの高い要因のひとつとなっています。この機械で葡萄の周りの葉をすべて除去することで、ボトリティスが付かないようにしています(そのための薬を使わなくてすみます)。10月から11月にかけて行なわれる遅い収穫は、葡萄に力強さを与える鍵となり、これによってアロマが最大限に引き出されます。このため、通常は4週間程ほどの熟成期間が、倍以上の8~12週間かかります。減酸は澱と寝かせて、マロラクティック醗酵のようなビオロジカルな減酸を4~6週間かけて行います。瓶詰めは、空気に触れない完全な状態を求め、近くの認証をとった所で確実な方法で行います。
トーマスは「ハイテクノロジー商品(=培養酵母)は必要ない。」、「ワインは自然なものであるべき、そして自然のままであり続けるべき」と考え、「自然の賜物」であるワインにたっぷりと時間をかけています。