サン・テミリオンの格付けでトップに君臨する、第一特別級AとB。第一特別級Aは、2022年の改定時においてフィジャックとパヴィ、2つのシャトーしか存在しません。第一特別級Aに続く形で12のシャトーが第一特別級Bとして名を連ねます。サン・テミリオンの格付けの特徴としては、格付け改定が行われる点です。直近では2022年に改定が行われました。トロロン・モンドは2006年の改定時にグラン・クリュ・クラッセから第一特別級Bに昇格しています。
トロロン・モンドは現当主クリスティーヌ・ヴァレット氏が父親からシャトーを受け継ぎ、1980年代から品質が飛躍的に向上しました。1980年代半ばには、醸造コンサルタントにミシェル・ロラン氏を招き入れ、さらに飛躍に拍車がかかりました。その頃から、「サン・テミリオンの第一特別級に格上げされるべき」、「メドックの第二級に相当する品質」などと言われてきました。そうした評価を受け続けていたものの、1996年の改定の時は昇格最有力候補に留まりました。
しかしブドウの完熟を待って可能な限り摘み取りを遅くしたり、グリーン・ハーヴェストをして収穫量を抑えたり、新樽比率の引き上げ(約70%)を行うなど巨額な投資を行い、そうした努力が実りようやく2006年に第一特別級Bに昇格を果たしたのです。
トロロン・モンドが位置するのはサン・テミリオンの中でも標高の高いパヴィの丘。気候が涼しいだけではなく、重い粘土質の土壌も冷たいためブドウはゆっくりと成熟します。古樹の割合が比較的高く、生み出されるワインは深みと奥行きのあるモダンなスタイルです。