サンジュリアン村には、“レオヴィル”と名のつくシャトーが3つあります。【レオヴィル・バルトン】と【レオヴィル・ポワフェレ】、そしてこのレオヴィル・ラスカーズです。もともとは一つだった畑が分家して出来たもので、レオヴィルの下の名前には、分家当時の所有者の名前がそのまま残っているのです。レオヴィル・ラスカーズの格付けは2級です。しかし、最近では“2級であるが品質は1級に劣らない”とされるシャトーの総称として「スーパーセカンド」という言葉が聞かれるようになってきましたが、その筆頭に名前が挙げられているなど、1級シャトーと比べても決して品質に大きな差がある訳ではありません。
サンジュリアン村に入り、村の中心部を抜ける直前まで達すると、前方に「ライオン」が座った有名な門が見えてきます。このライオンはレオヴィル・ラスカーズのシンボルで、ラベルにもデザインされています。この門とジロンド川に挟まれるように、合計「97ha」の畑のうちの最良の畑が石壁に囲まれています。レオヴィル・ラスカーズのワインは、この最良の畑から取れたブドウからしか造られません。D2号線を挟んで西側にも畑がありますが、ここで取れたブドウは「クロ・ド・マルキ」という、セカンドワインに使用されます。石壁に囲まれた区画の北部は、ちょうどポイヤックとの境界線で、ちょうどラトゥールの畑と向かい合う位置になります。その北側から南に向かってゆったりとした上り斜面になっていて、レオヴィル・ラスカーズの門は一番高いところに建てられています。ここからまた、南のサンジュリアン・ベイシュベル村に向かって下り斜面になり、東側にあるジロンド川に向かっても斜面になっているので、まるでライオンの門を頂点とした、一つの小高い丘のようになっているのです。ここの区画の土壌は砂利質です。この一帯には、ジロンド川によって運ばれた砂利が多く堆積しているため、非常に水はけが良く、これが最良のブドウを生み出す一つの理由となっています。現在ブドウ畑には、65%のカベルネ・ソーヴィニヨン、19%のメルロー、13%のカベルネ・フラン、3%のプティ・ヴェルドが植えられており、平均樹齢は約30年です。平均樹齢が少し低いように感じられますが、これは植替えを行っていることと、クロ・ド・マルキ用のブドウ畑を合わせた計算したため。ラスカーズ用のブドウ畑に限れば、平均樹齢は40年以上となるそうです。