ゴールドのエチケットが印象的なカントナック・ブラウン。シャトー名の「ブラウン」は英国の酒高「ジョン・ルイス・ブラウン」にちなんでおり、そのためか、英国人には親しみが深いシャトーとして知られています。シャトーの外観もヴィクトリア風の装飾が施された、英国のマナーハウスさながらのもので、メドックでも印象的な建物になっています。
カントナック・ブラウンは、マルゴー・カントナック台地の西南部分にあり、その名の通りカントナック村に位置しています。
この土地は18世紀にブドウ造りが始められた頃は、騎士ジャック・ボイドの所領でした。第2次大戦の影響もあって荒廃と復興を繰り返しましたが、1989年に保険会社アクサの子会社アクサミレジムの所有となり本格的な復興が始まりました。シャトー・ランシュ・バージュの評価を大きく高めたジャン・ミッシェル・カーズ氏をコンサルタントに迎えて醸造の改革に取り組み、設備や畑にも投資が行われ、大きく品質が向上しました。
2006年にシリア系英国人サイモン・ハラビ氏にオーナーが変更。その後、2019年よりフランスの実業家であり農学者でもある、トリスタン・ル・ルース氏がオーナーとなりました。トリスタン氏は巨額の投資と環境との調和を重視したワイン造りを推進。有機的な素材でシャトーとセラーを建造し、さらにグラヴィティ・システムや正確な醸造のための小型発酵槽も導入しています。数年かけての大規模な工事によって大きく生まれ変わると期待されているため、今後の発展に目が離せません。