ファルゲロルの南の最も素晴らしい区画の100周年を祝うため、1989 年にこの特別なキュヴェを造ったのが始まりです。元々グルナッシュだけの畑でしたが、ミストラルが強く吹く畑で、折れた樹や枯れた樹の代わりに、ムールヴェードルを植えています。土壌と下層土共に、石灰岩は多くなく、青く緻密な粘土が主で、ワインにミネラルを与えます。日当たりは理想的で、荒々しく吹き荒れるミストラルは、果実の濃縮をもたらします。収穫量は、15hL/ha。品種ごとに別々にタンクで発酵させ、醗酵後にサントネールにするかどうか決めています。コンクリートタンクで 3~4 週間発酵後、グルナッシュはタンク熟成、ムールヴェードルは古いバリックで 18 ヶ月熟成させます。グルナッシュは十分な糖があり、樽から甘さや集約感を移す必要が無いのでタンクで熟成させます。傑出したヴィンテージにのみ造られるワインで、生産量は 3,000 本です。グルナッシュの真髄を表しています。「数週間前、1989VT を父と飲みましたが、30 年の熟成を経てやっと今飲み頃に差し掛かっていました。本当に驚くほどの長期熟成型のワインであることを再認識できました」と、2019 年に来日した際ファブリスは話していました。
時代のニーズも見据えたシャトーヌフのトップ生産者
シャトーヌフ・デュ・パプの最もエネルギッシュで、力量のある生産者の一人です。父親の仕事であるワイン造りに参加するようになると、めきめきとトップクラスの生産者としての頭角を現しました。今や世界的に有名になってしまったアンドレ ブルネルのワインは、私どもも何とか僅かでも量を増やしていただこうと、毎年の買い付けには必ず訪問するほどです。オリジナリティに溢れる造り手によって生み出されるワインは、シャトーヌフ デュ パプ “レ カイユ”をはじめ単なるコート・デュ・ローヌでさえ、並の生産者のシャトーヌフ デュ パプの品質を上回ります。
理想の味わいを優先させる
ローヌのトップ・エノログのフィリップ・カンビがコンサルタントとして参加し、丸いタンニン、豊富な果実味といった、時代のニーズに合ったワインとなりました。また、2015年から醸造担当としてロマンが参加。アンドレは、これまで以上に畑作業の時間を増やしています。スタンダードクラスのワインでさえ、長めのマセラシオンを行い、エレガントでバランスの取れたワインにしています。また、V.D.P.などでも、市場に出す前に、必ず1年は落ち着かせてから出荷したいと考えています。アンドレが考える南部ローヌワインの魅力は、飲みやすく親しみやすく、食事に合わせやすい味わいであることです。
ロバート・パーカー Jr.「ワールド・グレイテスト・ワイン・エステイト」に掲載。
ヒュー・ジョンソン「ポケット・ワイン・ブック2019」で赤3ッ星。
「今日、ドメーヌのかじ取りは2世代で行っている。葡萄農家のDNAを発揮するアンドレ・ブルネルと、父アンドレより戦略的でマーケティングに精通した息子ファブリス。今日、この親子のペアは大変有効に機能している。ドメーヌの評判は広がり、特に輸出の分野で大きく成長している。区画は様々な場所にあり、土壌も多種多様だ。これが彼らのワインに複雑さをもたらしていると考えられる。温暖化の影響を大変危惧している。アンドレ・ブルネルはこのドメーヌのワインの特徴であるフレッシュさを維持し、またフィネスを保つためにアルコール度数の上昇を抑えることに注力している。このドメーヌのワインでまず注目すべきところは、骨格が柔らかいということだ。若いうちからタンニンが柔らかくなっている。そして、次にピュアで鮮やかな果実味だ。アロマティックな複雑さがあり、口の中で上品なエレガンスが持続する。ミネラル感を感じるフレッシュさが果実の芳醇さと絶妙なバランスをとっており、生き生きとした張り感と豊かさの均衡もとれている。ブルネルのワインは若いヴィンテージが特に通で魅力的だ。その後、3~4年は閉じこもり、飲んでもあまり感動のない期間を経る。したがって、しっかりと複雑味がでて再び開花する時を待たなければならない。そうすることで、偉大なワインとして復活する。偉大なワインの様相がありながら、ドメーヌの特徴である、フレッシュな果実味もしっかりと残っている。」 「ラ・ルヴュ・ド・ヴァン・ド・フランス2019.04」より