「シャトー・マルゴー」は、数あるフランスワインの中でも「グラン・ヴァン(偉大なワイン)」と評される、最高級ワインの一つです。ボルドー五大シャトーの中でも女性的といわれるシャトー・マルゴーは、力強さと優美さを兼ね備えた、「ワインの女王」と呼ばれるのにふさわしい魅力を持っています。
「世界最高峰の赤ワインの産地」として知られるボルドー「5大シャトー」の一つとして愛され続けているのが、日本でも有名なシャトー・マルゴーです。16世紀にブドウ栽培を開始、17世紀末にはすでに高品質のワインを造り出すシャトーとして、その名前を知られる存在となっていました。ワイン造りに関して、数々の先駆的な改革も行われ、当時のブドウ畑では赤用と白用のブドウが混植されていましたが、それを一番最初に分けたのもマルゴーでした。また、土壌の区画分けの重要性やブドウの収穫時間に関しても、様々な試みを行ってきました。18世紀に入ると、オークションで有名なクリスティーズのカタログにボルドーワインとしては初めて掲載されるなど、その知名度は一層高まります。イギリスの初代首相であるロバート・ウォルポールも「3ヶ月毎に4樽」という頻度で購入していたそうです。また、ワイン通として知られている、後のアメリカ大統領トーマス・ジェファーソンによる個人的な格付けでは、すでに「1級」とされていたのです。1855年のパリ万博で行われたシャトー格付けでも、マルゴーは1級に選出され、ジロンド県ワインのテイスティングでも、20点評価で満点の20点を獲得した、唯一のシャトーとなりました。その後、何度も持ち主が変わり不作の年も訪れましたが、その危機を乗り越えて、今なお世界中のワイン愛好家から愛され続けています。まさにボルドー地区を代表するシャトーの一つだと言えるでしょう。