シャトー・クリマンはボルドーの南東、ガロンヌ河の左岸に位置するワイナリー。先祖代々、数百年にも渡り受け継いできた卓越性と並はずれた気品は、「バルサックの領主」と称えられ、テロワールの奥深さを引き立てた世界一の名声を誇る甘口白ワインを丹念に造っています。メドックと同じく1855年に格付けを行い、高い品質を誇るクリマンは当然の如くプルミエ・クリュに格付けされました。
クリマンとは、フランス語で「不毛の土地、痩せた土地」という意味。偉大なテロワールは土や水、空気、火という4つの要素のバランスによって誕生するという考えを持つシャトー・クリマンでは、火から生じて豊かさを保証する赤色土が注目されています。粘土質による水の要素は、ワインに滑らかさやフレッシュさを与えながら自然の豊かさを見事に調和。雨や暑さなどの気候の変化に伴い、水や火の配分が毎年変わるためそれぞれヴィンテージの特徴が良く表現されたワインが出来上がります。
「完璧な調和」を手に入れるために、シャトー・クリマンでは土の要素を持つ典型的な品種を用いてこの地の主な土壌である石灰質を理解する必要があると考えました。そして研究を重ねた後、セミヨン種がこの素晴らしいテロワールを表現するための、類稀なる可能性を秘めている事が分かったのです。
シャトーが所有する畑は、僅か約2,000ha程度の小さな面積。石灰質に占められたこのテロワールからは、世界でもトップクラスのワインを生み出しています。ソーテルヌ地区のような豪華さにはやや欠けるものの、優れたバタンスと芳醇なアロマ、フレッシュ感のある味わいから醸し出す他のどのワインにも似ることのない繊細さが魅力的です。独自のテロワールによる輝きや深みを最大限生かしたワイン造りを行っています。
2010年より、シャトーのテクニカルディレクターを務めるフレデリック・ニヴェル氏とともにブドウ畑全体をバイオダイナミック農法へと転向。ブドウの栽培から醸造まで一切の手を抜く事はありません。気まぐれでデリケートなボトリティス菌は、特別な気象条件だけでなく、とても正確な作業が必要なのです。ブドウの収穫は9月~11月に始まり、3週間から2ヶ月間続き収穫期間中は休みなく作業が続けられ、中断することはできません。ブドウの樹を何度もチェックをし、細密に選別をしていく事で 完全に貴腐化した、濃縮に理想的な段階の果粒だけを収穫することが出来るのです。