シャトー・カマンサックは、サン・ジュリアンとの村境、シャトー・グリュオ・ラローズの奥のサン=ローラン村に位置するシャトー。「シュマン・ド・ロー=水の道」の方言からこの名前が名付けられました。メドック格付第五級ながら、知名度があまりなく、1960年代までは「興味を欠く、凡庸なワイン」と注目を浴びることがありませんでしたが、1964年にフェルネール兄弟が買収して以降、しなやかさと果実味が強調された高品質ワインに変貌。フォルネール兄弟はスペインのリオハ地方にあるワイナリー、マルケス・デ・カセレスで造られるモダンなスタイルのワインでよく知られています。また、カマンサックの復活には欠かせなかった人物が、ボルドー大学で醸造学の講師をしていた天才醸造学者エミール・ペイノー氏。彼は、伝統的な手法に縛られない様々な製法を生み出し、現代のワイン醸造学を造ったと称されています。シャトー・カマンサックは、フォルネール兄弟とペイノー氏の手によって復活を遂げた結果、1990年代以降はロバート・パーカー氏からも、「よい凝縮味を持つ、率直で毅然としたスタイルのワインである」と高く評価されています。所有する畑は、深い小石が多い粘土石灰質土壌。作付面積が広いカベルネ・ソーヴィニヨンからは、豊富な果実味とミネラルが抽出され、メルロはワインにふくよかさとボリュームを与えます。醸造を手掛けるのは、著名なワインコンサルタントであるミシェル・ロラン氏とエリック・ボワスノ氏。区画やヴィンテージによって期間は異なりますが、25日以上かけてゆっくりと発酵し抽出を行い、樽でのマロラクティック発酵の後、35~70%の新樽率で17~20ヵ月間の樽熟成。その結果、アロマティックな風味を備えた、エレガンスがありながらも、タニックで力強いワインが造られます。