19世紀、スペインのコンチャ侯爵家は、ヨーロッパの人たちが飲む高級ワインをチリで造ろうと「新大陸」で理想の土地を探し、ヨーロッパを超えるワインを造るという夢に賭けたのです。コンチャ家の情熱を担ってチリへやってきた人物こそドン・メルチョー氏、現在のコンチャ・イ・トロ社を起こした人物でした。当初からの世界品質をめざすという高い理想を実現可能にしたのが、チリの気候と風土です。太平洋近くまで山裾が迫ったアンデス山脈のおかげで、チリのぶどう畑では病害虫の恐れが少なく、過去ヨーロッパ全土のぶどう樹に壊滅的な打撃を与えた害虫フィロキセラの難も受けませんでした。そして晴天率の高い地中海型気候。これらはぶどうにとって、ヨーロッパの各国がうらやむような理想的な条件でした。ぶどう栽培に理想的な環境のチリに、コンチャ・イ・トロが自社で保有する畑面積は、合計すると7,000ヘクタール以上で、現在も拡大し続けています。高品質ワインを造る条件。それは良質なぶどうと優れた醸造技術。この哲学に基づいてコンチャ・イ・トロ社では、栽培部門と醸造部門が協力して、ぶどう品種ごとに最適な立地条件の畑を選択し、畑を小さな区画に分け、畑の中にさらに畑をつくる“マッピング”という革新的なシステムを導入して、極めて良質のぶどうを生産しています。しかも、ここでぶどう畑の管理・栽培にあたっているのは計1,000人ものエキスパート・チーム。こうして収穫された高品質のぶどうを伝統的な製法に従って処理し、優秀なワインメーカー達が、世界的に定評のあるワインを生み出しています。
コンチャ・イ・トロの醸造家
エンリケ・ティラド
「ドン・メルチョー」の主任ワインメーカー。弱冠34歳にしてコンチャ・イ・トロ最高峰ブランドのワインメーカーに就任した天才。彼の繊細な醸造技術は世界的に高い評価を受けています。ロスチャイルド家とのジョイント・ベンチャーワイン「アルマビバ」でも、チリ側の醸造責任者も兼任していました。ドン・メルチョーのスタイルは、畑がすべて。プエンテ・アルト農園の偉大な風土はもちろん、エル・トコルナル農園の砕石混じりの土壌、そこへアンデス山脈から流れ込む冷涼な空気。恵まれたマイポ・ヴァレーの環境で、ブドウ樹が20年にわたり提供してくれる最良の果実、これらの個性をどれだけワインの中に表現できるか、ということに専念しています。
イグナシオレカバラン
「アメリア」「テルーニョ」「CyT」シリーズの醸造責任者。コンチャ・イ・トロ社では1995年の入社後すぐからCyT(日本未販売)を担当。その年、95年「ワイン・チャレンジ」(ロンドン)でシャルドネが金賞を受賞。「チリアンワイン・ガイド」では最近10年間で注目すべき醸造家として取り上げられ、かつ、特に白ワイン造りの名手としてチリでは非常に有名な存在です。「私がワインの印象やスタイルで意識していることと言えば、どのワインでも常に果実味と上品さの表現に専心するということ。それだけです。つまり、ブドウの特徴とスタイルをよく知ることが、ブドウが持つポテンシャルを開花させるのです。」
マルセロパパ
「マルケス・デ・カーサ・コンチャ」「カシジェロ・デル・ディアブロ」シリーズの醸造責任者。カベルネ・ソーヴィニョンへの情熱を認められ、1998年に入社以来「カシジェロ・デル・ディアブロ」の醸造を担当し、1999年より「マルケス・デ・カーサ・コンチャ」の醸造担当者も兼任している。現在はプエンテ・アルト・セラーで主任ワインメーカーに任命されています。「我々の長年にわたるブドウ畑の優れた栽培管理によって、果実に由来する最高の凝縮感と個性を引き出してきたことが、マルケスのスタイルの伝統になっています。毎日のなんらかの変化に対するチャレンジの連続、ワインメーカーはまるでアーティストのようです。」