ビオロジックやビオディナミを実践するチリの生産者
エミリアーナは、チリの大手コンチャ・イ・トロ社を経営するギリサスティ家が、一族で独自に所有するワイナリーで、1986年に設立されました。カサブランカ、マイポ、コルチャグア、カチャポール、ビオビオの5つのヴァレーに1111haの自社畑を所有しています。生産量は80万~100万ケース。ラファエルとホセのギリサスティ兄弟は有機栽培に関心を持つようになり、その道の第一人者であるコンサルタントの友人アルバロ・エスピノザ氏を迎えて、90年代から有機栽培を導入してきました。2001年、スイスの認証機関「IMO」から畑の一部が有機栽培の認証を受けたのを手始めに、2005年には「Ge 2003」が南米で初めて、デメターからビオディナミのワインとして認証を受けました。現在、有機栽培かビオディナミを導入する畑は762ha。有機栽培に転換中の畑は349ha。畑にはホロホロ鳥やニワトリを放し飼いにし、害虫やミミズを食べさせ、ハーブや草花を植えて、調和のとれたエコシステムを実現しています。彼らは環境保全型農業や有機栽培・バイオダイナミック農法を実践する事が、より良いバランスで、より健康的で、より生産力が上がり、結果的により高品質なブドウが、そしてワインが造れると固く信じています。
コヤム
ホセ・ギリサスティが畑仕事をした日の夜、目が赤くなり、肌が痒くなり、頭痛がしたり。毎日働いている労働者の健康はどうなっているのだろうか、そもそもブドウの樹に悪い影響はないのだろうか、そのブドウから造るワインは大丈夫なのだろうか。
そんな疑問から始まったエミリアーナの有機栽培の出発点がコルチャグアのロス・ロブレスの自社畑です。そこで試験的に栽培した数種の品種が全てうまく成長し、そのブドウを全てブレンドして造ったワインがこのコヤム2001年ヴィンテージでした。2年後、チリ・ワイン・アウォードに出品されたコヤムがその品評会の最高峰「ベスト・イン・ショー」に選ばれ、エミリアーナは全ての畑の有機栽培・バイオダイナミック農法への転換を決意しました。チリ初のオーガニックワインであるコヤムが「ベスト・イン・ショー」を獲得した事はチリのワイン業界でも衝撃の事実となり、それ以降、エミリアーナのフラッグシップワインとなったのがこの「コヤム」です。