伝統的製法で長寿なワインを造る、オーストラリア最古のワイナリーのひとつ
タービルクはナガンビー・レイクで1860年から続く家族経営のワイナリーです。ナガンビー・レイクはメルボルンの北120km、中央ヴィクトリアに位置するオーストラリア屈指の高級ブドウの産地。オーストラリアで最も古い畑が残る地域でもあります。この樹齢の高いブドウからプレミアムのシラーズ、カベルネ・ソーヴィニヨン、マルサンヌが造られますが、最も古い畑は、フィロキセラが流行る前の1860年に植えられたシラーズで、その畑のブドウで造られるワインは、「1860ヴァインズ・シラーズ」と呼ばれています。収穫は、通常は3月初旬から5、6週間をかけて行います。タービルク・ラベルは、すべては自社畑のブドウを使用。イギリス、アメリカなどへの輸出は、全生産量の20%のみ。オーストラリア人に愛されているブランドです。
世界的にもユニークな産地
ナガンビー・レイクは、オーストラリアの原住民アボリジニーが「タビルク・タビルク」(水が溜まった穴が沢山ある場所)と呼んだように、内陸にありながら水が豊かな産地。通常想像されるより気候が穏やかで涼しいのは、多くの湖やゴルバーン河につながる沼の影響を受けるからで、このような産地は、オーストラリアではここだけ、世界でも6ヶ所ほどと言われています。また、酸化鉄を多く含む赤褐色の砂質ローム層土壌もブドウにこの土地特有の風味を与えています。
オリジナルの設備が今も活躍
タービルクでは、1860年、最初のブドウを植えると同時に醸造所と地下貯蔵庫がつくられました。建設材料はすべてその場で調達する必要から、壁は近くの川岸から運んできた泥や石、またワイナリーで天日干しにした手作りレンガを使い、梁と柱にはレッド・ガムやアイアン・バークと呼ばれる硬いユーカリを斧で切り出しました。その後、拡張が続き、1882年には、ラベルにも描かれているタワーが造られます。その1階部分は1940年代まで醸造に使われましたが、その間19世紀末にはフィロキセラに見舞われたり、所有者が亡くなったりと災難が続き、しばらくは打ち捨てられていました。1930年代に入り現在のオーナーであるピューブリック家がタービルクを再興し、現在に至っています。貯蔵用の大樽も含め、地下貯蔵庫は今でも使われています。
息づく伝統と長寿なワイン
アリスター・ピューブリックは南オーストラリアのローズワージー校で醸造を修得し、1979年からタービルクの醸造家となりますが、赤ワインの醸造方法は、一貫して伝統的な手法を変えていません。オークの開放桶で発酵した赤ワインは、年間を通して室温が15~16℃の地下貯蔵庫にある100年以上経過した古いオークの大樽で18ヶ月ほど熟成させます。その間、澱抜きを2度行い、ボトリングしてからさらに12~18ヶ月間瓶熟成させて出荷します。プレミアムワインは、さらに4年ほど熟成させてからリリース。タービルク・ワインは、熟成により複雑さを生み出す、驚くほど長寿なワインです。