ソムリエ走る8

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大会数日後、郵送で正式タイムが送られてきた。タイム1時間33分38秒、
ネットタイム1時間32分46秒、総合順位606位、種目別順位162位
(40代男性の部)。
正式タイムはスタートの合図が鳴ってからのタイムで、ネットタイムはスタ
ート位置を通過してからのものである。大会参加者は必ずチップを身に付け
て走る。そのチップの情報によって詳しい情報がはじき出されるのである。
何と便利な世の中であろう。こんなちっぽけなランナーにも正確なタイムを
伝えてくれるのだ。

この大会で僕は2つの教訓を得た。あくまでもフルマラソンに挑戦するため
のものだ。『ストライドを広くして弾むように走るのはこの歳になってはも
う無理なことだ』『出来るだけ体重を軽くして足にかかる負担を減らさなく
てはいけない』
レース前半、身体が軽く感じた錯覚と、他のランナーを追い越す爽快感につ
いストライドが広くなり、跳ねるように走ってしまった。67kgの体重の
僕が、高校生の頃のように56kgだったとしたら、おそらく同じペースで
走りきることも出来たに違いない。
とりあえず減量は別にして、この大会を機にランニングホームを意識して走
るようになった。ピッチ走法と呼ばれる走り方だ。ストライドを広くしない
で足の回転を速くして走る。上下運動を極力少なくして上体がぶれないよう
意識する。ただし、腰が沈んだ状態では地面を這っているようでおかしな走
り方だ。それではスピードが出ないので、腰の位置を高くした状態で足の回
転を速くする。そんな意識を持って約1年半、僕はトレーニングに励んでき
た。

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