しかしそれは突然やってきた。15kmを過ぎた頃だろうか。足が思うように
動かないのである。軽やかに跳べない。心肺機能は何ともないのだが、今まで
のように快適に走れないのだ。さほど苦しくはないのだが、(苦しくないとい
うのは、倒れ込むほどの苦しさはないということで、苦しいには違いない)お
そらく傍目から見れば、苦しそうな表情に見えるであろう。早いペースでこれ
以上走れないことを実感する。あと約6km,完走は出来そうだが、ペースを
上げることは不可能だ。先程追い越したばかりの足が重そうなランナーが僕を
抜いていく。相変わらず足は重く辛そうだが、きっと僕はそれより辛そうに見
えるだろう。こうなったら我慢するしかない。後続のランナーが次々に僕を抜
いていくが気にしてはいけない。おそらくキロ5分~6分のペースまで落ちて
いる。
それでも僕と同じような状態のランナーもいるので彼らの後ろを遅れないよう
に付いて走る。20km地点を何とか通過する。 「1時間27分」
もう30分を切るのは不可能だ。あと残り僅か1kmなのにペースを上げたく
ても思うようにならない。ゴール地点が見えてきた。今さらラストスパートす
る気力は残っていない。最後は、何人かのランナーに抜かれてゴールした。
左手のストップウォッチを止める。「1時間33分43秒」残念だが30分を
切ることが出来なかった。
Author:シニアソムリエ麦ちゃん 投稿一覧
ワインブティックヴァンヴァン店主 シニアソムリエ
ワインブティックヴァンヴァン店主のソムリエ麦ちゃんこと麦島泰彦です。(日本ソムリエ協会認定 シニアソムリエ&ワインアドバイザー)
レストランのシェフソムリエからワインショップに転身。「一般の人にワインの魅力を伝えたい」
毎日でもワインを飲みたい多くのワイン好きを育てるのが天命だと思っています。安くても美味しいワインがモットーです。